ぎっくり腰と思って湿布を張っていたが、よく調べてもらうと腰の骨が脆くなっていて松葉杖を処方された。動き回ることができずに、たちまち体重が増えた。
人間は太古からの歴史で、食べ物はあるときにできるだけ食べるように進化したらしい。エネルギー源は貴重だった。人間がそんなにエネルギーを使わなくても暮らせるようになったのは、長い人類史から見ればつい昨日や今日のことで、人類は豊穣の時代に適応した進化をしていない。
人類史において、子どもは大人のすることを遊びの中で模倣し成長した。しかし、ここ100年の人類社会の変化は異常と言っていいスピードだ。今子どもは実体験として遊ばず、非現実の世界で遊ぼうとしている。
フレーベルが幼稚園を考えたのは、子どもが本来持った活動性を思い切りのびのびと発揮できる遊具のある環境を確保してやることが、人間の本来的成長に不可欠だと考えたからだ。
将棋の藤井八冠は幼児期モンテッソーリ教育に親しんだと言われている。モンテッソーリ教育が重視するのは「集中現象」と「正常化」である。モンテッソーリがあるこどもを見ていると、円柱差しの遊具に熱中しだし、ちょっかいを出してもやめず32回出し入れを繰り返したという。そしてそのあとのこどもの恍惚感、それをこども発達の「正常化」と考えた。はまり込んだ後に心地よい疲労感と達成感が生まれる熱中、仕事でも趣味でも人間の精神的健康に不可欠のように思える。
本園では知育玩具として、ドイツやスイスで作られた積み木をはじめとした遊具を整備して、子どもたちは朝登園するとそれぞれお気に入りのコーナーにはまる。日本では遊具、おもちゃは子どもにあてがっておく「暇つぶし」のように思われているところもあるが、本園では人間の成長に不可欠な熱中と達成感、学習をもたらすものとして捉えている。
麻薬のような非現実の沼に溺れることなく、熱中がもたらす精神的健康を享受したい。
あなたは何にはまる?